「相続した山を売りたいけれど、いくらになるのか見当がつかない」
「山は1平方メートルあたり数十円と聞いたけれど、本当にそんなに安いの?」
山林の値段について、こうした疑問を持つ方は少なくありません。宅地であれば近所の売り出し価格や路線価を目にする機会がありますが、山林は比べる材料が少なく、相場をつかみにくい土地です。
結論からいうと、山林の土地だけの全国平均価格は、1ヘクタールあたり約40万円です。ただし、これはあくまで平均です。実際の売値は、道路に接しているか、傾斜はどうか、どんな木がどれだけ生えているかによって大きく変わります。同じ1ヘクタールでも、数十万円の山もあれば数百万円になる山もあり、反対に値段がつかない山もあります。
この記事では、公表されている統計からみた山林の価格相場、値段が「土地」と「立木」に分けて決まる仕組み、自分で相場を調べる方法、そして正確な価格を知るための査定の流れまでを解説します。
山林の価格を知るうえで参考になる公表データが、一般財団法人日本不動産研究所が毎年まとめている「山林素地及び山元立木価格調」です。2025年10月に公表された調査(2025年3月末時点)では、山林の土地(素地)の全国平均価格は次のとおりでした。
| 区分 | 全国平均の価格 |
|---|---|
| 用材林地 | 10aあたり40,533円 (1haあたり約40万円) |
| 薪炭林地 | 10aあたり28,567円 (1haあたり約29万円) |
出典:日本不動産研究所「山林素地及び山元立木価格調」(2025年3月末現在)。全国平均(北海道・沖縄県を除く)、普通品等の価格。1haあたりは10aあたりの価格を10倍した概算です。
用材林地はスギ・ヒノキなど針葉樹の林地、薪炭林地は広葉樹の林地のことです。
1ヘクタールは10,000平方メートル(100メートル四方)です。用材林地の場合、1平方メートルあたりにすると約40円、1坪あたりでも130円ほどになります。「山は1平方メートルあたり数十円」という話は、平均でみればおおむね当たっているといえます。
価格の推移をみると、山林の土地の価格は長く下がり続けています。用材林地の価格は、最も高かった1983年(10aあたり89,383円)の約45%にとどまり、1972年ごろに近い水準です。2022年の調査ではウッドショックの影響で31年ぶりに前年を上回りましたが、その後は再び下落しています。
ただし、この数字を見るときには2つの注意点があります。
全国平均は、山林の値段を考えるときの「ものさし」としては便利です。しかし、あなたの山がいくらで売れるかは、個別の条件を見なければ分かりません。次の章から、価格を決める条件を整理していきます。
山林の価格は、大きく「土地(素地)」と「立木」の2つに分けて考えます。山林ねっと.comでも、土地と立木をそれぞれ別々に査定し、その合計を山林の価格としてお示ししています。
土地の価格は、主に次のような条件で決まります。
なかでも影響が大きいのが道路です。山林は、木を切り出したり手入れをしたりするために車が入れるかどうかで、使い勝手が大きく変わります。道路に接していない山林は、良い木が生えていても評価が下がりやすくなります。
立木の価格は、木の種類(樹種)、樹齢、本数や体積(材積)、手入れの状態などで決まります。
ここで知っておきたいのは、立木の価格は市場で売れる丸太の値段そのものではない、という点です。木を伐採して丸太にし、木材市場まで運ぶには費用がかかります。立木の価格は、丸太の売値からこうした費用を差し引いた残りの金額です。
日本不動産研究所の同じ調査によると、このように計算した立木の全国平均価格(1立方メートルあたり)は、スギが4,026円、ヒノキが9,494円、マツが2,453円でした(2025年3月末時点)。スギとヒノキは、いずれも最も高かった1980年の2割前後の水準です。
切り出す費用は、道路からの距離や斜面の急さによって大きく変わります。そのため、道路から遠い急斜面の山では、立派な木が育っていても、費用を差し引くと立木の価値がほとんど残らないことがあります。反対に、道路に近く手入れの行き届いた人工林では、立木の価値が土地の価値を上回ることも珍しくありません。
たとえば、1ヘクタールの山林に、木材として使えるスギが300立方メートル分あるとします。全国平均の立木価格(1立方メートルあたり約4,000円)を当てはめると、立木の価値は約120万円です。これに土地の価値(全国平均で約40万円)を足すと、山林全体で約160万円という計算になります。
ただし、これは全国平均の数字を当てはめただけの、あくまで仮の計算です。実際には、木の太さや曲がり、切り出しやすさ、地域の木材市場の価格などによって、金額は大きく上下します。
ここまでの内容をふまえて、価格が上がりやすい山と下がりやすい山の特徴をまとめました。ご自身の山がどちらに近いか、確認してみてください。
日本不動産研究所の調査では、用材林地の価格が下がった理由として最も多く挙げられたのが「買い手がない」(15.7%)でした。山林の価格は、最終的には「その山を欲しいと思う人がいるかどうか」で決まります。林業を営む人、キャンプ場をつくりたい人、資材置き場を探している人など、具体的な買い手の姿が思い浮かぶ山ほど、値段がつきやすくなります。
専門家に相談する前に、おおよその相場を自分で調べておきたいという方も多いと思います。手軽に使える方法を3つ紹介します。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際に行われた不動産取引の価格を、物件が特定されない形で調べることができます。以前は「土地総合情報システム」という名前で公開されていたもので、2024年4月から現在のサイトに移りました。無料で利用できます。
山林の取引価格を調べるときは、価格情報の検索画面で種類に「林地」を選び、都道府県・市区町村と調べたい時期を指定して検索します。結果には、地区名、取引の時期、取引価格、面積などが表示されるので、価格を面積で割れば1平方メートルあたりの単価も計算できます。
ただし、山林の取引は宅地に比べて件数が少なく、地域によっては数年さかのぼっても数件しか見つからないことがあります。また、取引価格には立木の価値や、親族間の売買といった個別の事情が含まれている場合もあります。1件の数字をそのまま当てはめるのではなく、複数の事例から傾向を見るようにしましょう。
第1章で紹介した「山林素地及び山元立木価格調」は、毎年秋ごろに結果の概要が公表され、日本不動産研究所のサイトで見ることができます。土地の価格だけでなく、スギ・ヒノキ・マツの立木価格も載っているため、山林や木材の値段が全体として上がっているのか下がっているのかをつかむのに役立ちます。
一方で、公表されている数字は全国平均です。地域や個別の条件による差が大きいため、あくまで目安として使いましょう。
毎年春ごろに市町村から届く固定資産税の納税通知書には、課税明細書が付いています。そこには、山林の地番ごとの面積や評価額が書かれています。
固定資産税の評価額は売買価格そのものではありませんが、同じ地域のほかの山と比べたり、自分の山がどの程度に評価されているかを知ったりする材料になります。課税明細書の見方は、次の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】山林の固定資産税はいくら?課税される山・されない山の違いと確認方法
山林売買サイトなどに掲載されている価格は、売主が希望する「売り出し価格」です。実際にその金額で売れたとは限らず、交渉で下がることもあります。参考にするときは、成約した価格ではないことを頭に入れておきましょう。
山林には、目的によっていくつかの「価格」があります。混同しやすいので、違いを整理しておきましょう。
相続税評価額は、一般的な山林であれば「固定資産税評価額×国税庁が定める倍率」で計算します(倍率方式)。
これに対して売買価格は、買い手がその山をいくらで買いたいかで決まります。そのため、評価額より高く売れることもあれば、評価額がついていても買い手が見つからず、値段がつかないこともあります。「評価額がこれだけあるから、この値段で売れるはず」とは限らない点に注意してください。
条件の厳しい山林の中には、残念ながら買い手が見つからず、実質的に値段がつかないものもあります。測量や片付けの費用を考えると、手放すためにお金がかかる、いわばマイナスの価格になるケースもあります。
ただ、売却が難しいからといって、打つ手がないわけではありません。無償で譲る、自治体などに寄附する、相続した土地であれば国に引き取ってもらう制度(相続土地国庫帰属制度)を使う、といった方法があります。それぞれの条件や費用は、次の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】山林を手放す方法まとめ:売却以外(寄附/国庫帰属/無償譲渡)の現実と注意点
【関連記事】山林処分の費用はいくら?測量・登記・片付け・負担金まで“後から増える出費”を全部見える化
また、「どうせ値段はつかない」と思っていた山でも、調べてみると立木に思った以上の価値がある場合もあります。手放し方を決める前に、一度査定を受けて価値を確かめておくと安心です。
ここまで紹介した方法で分かるのは、あくまで相場の目安です。あなたの山がいくらで売れるかを正確に知るには、山林に詳しい専門家による査定が欠かせません。山林ねっと.comでの査定は、次のような流れで進みます。
まずは「登記簿謄本(登記事項証明書)」か「固定資産税の納税通知書」をご用意ください。山林の所在地や地番、面積、地目が分かれば、査定の準備を始められます。書類がそろわない場合も、取得のお手伝いをしますのでご相談ください。
なお、相続した山林で名義変更(相続登記)がまだ済んでいない場合は、売却の前に手続きが必要です。
【関連記事】山林の相続登記義務化で何が変わる?放置していた山の名義変更と罰則リスク
現地では、ドローンによる空撮と地上からの確認で、地形や道路の状況、生えている木の種類や量、手入れの状態などを調べます。登記簿の面積と実際の面積が違っていたり、境界があいまいだったりする山林でも、山林の専門スタッフが調査します。
調査の結果をもとに、土地と立木をそれぞれ査定し、合計した金額をお伝えします。土地は、地目や道路の状況、傾斜などに加えて、川が近い、キャンプに向いた平地があるといった山ごとの特徴も考慮します。立木は、樹種や樹齢、手入れの状態を調べたうえで、伐採して木材市場で売るまでを想定して計算します。
査定のあとに売却をご希望の場合は、仲介での売却をご提案します。成約まで待てない、すぐに現金化したいという方には、当社による山林の買取も行っています。日本全国、どの地域の山林でもご相談いただけます。
査定の詳しい内容は、山林の評価額査定のページをご覧ください。
最後に、この記事のポイントをまとめます。
山林の価格は、平均の数字だけでは判断できません。「うちの山はいくらになるのか」「そもそも売れるのか」が気になったら、お気軽に山林ねっと.comにご相談ください。土地と立木の両面から、あなたの山の価値をお調べします。
参考資料:一般財団法人日本不動産研究所「第84回 山林素地及び山元立木価格調(2025年3月末現在)」、国土交通省「不動産情報ライブラリ」